10月中旬(小百合姫に感謝)
今まで、ボートを出しさえすれば何かが釣れた。
たとえ、最初から悪い予感がしていてもベラの1、2匹は釣れたものだ。

今回は、卸し立ての竿を2本追加して、計3本の竿で夕方の短期決戦に
賭けてみた。
先回にパタリと止んだ大アジの動向をさぐってみたい。群れが去ったと
信じたくないのだ。
しかしそれ以上に、先回、竿を引ったくった大物が忘れられない。
そういう訳で、欲張って3本の竿となった。
たいがいいつもは1本だが、余裕がないときだけに竿も多目になってしまう。

3本だから、一本ぐらいにアタリがあっても良さそうなのに・・・・。
2本はそれぞれに一本針と青イソメを、3本目はアジ狙いで、アミかごに
サビキ仕掛け。
万全の体制である。
来客があってボートを出すのが遅れ、もうすっかり暗くな
ろうとしている。
しかも、冷凍アミブロックの解凍を忘れていたので、ナイフ
で削り取ったり、手はカジカムし、ジアイが過ぎようとして
いるので慌しいったらありゃしない。

秋の夕闇は深い。
竿の先端に光るケミホタルだけが、やけに眩しい。
遠くに輝く礫浦港の灯りが、里心を刺激してどうしようも
ないのだ。
帰りは干潮時。
ボートの接岸が難しい上に、一匹も釣れない心細さといっ
たら・・・・。

ただ暗闇の中で、船の引きづる波が夜光虫を刺激して、
不気味なほど青白く光る。
真っ暗な海をジグザグに走って、ジグザクの航跡を描いた。
落ち込んだときの気休めに、もってこいだ。
な〜に、魚の下処理の手間がなくなっただけ、ヨシとしよう。

♪あしぃーたが あるーさ あすがある。

コスモスが咲き誇っている海辺。
隣の並原さんの庭は、花で埋もれています。

明けて次ぎの日の未明、夜中の3時過ぎに起きてしま
った。
さすがに、心中穏やかではない。
もし、ここですんなり諦めてしまうと、たぶんしばらくは立
ち直れないだろうな。
今までの強運が尽きるかもしれないのだ。
もういちど、確かめたい。
昨日の不運を忘れるためにも、朝一番に賭けてみたい。

そして、その時がきた。
いきなり強力な締め付け。
竿がしなりドラグが鳴り、やがて海中から踊り出たのは。
一発大逆転の大きなグレ。

大アジは、集団でどこかへ去ったらしい、釣れなくて当
たり前だろう。
替わりに大グレの慰め。

つくづく、悪運の強い奴だなー。
大アジポイントから200m以上離れたところで
中アジとベラが釣れた。
大グレを釣った後、移動して余裕の釣果である。
これからしばらく、ここで遊ぶことにしよう。