かなわぬトキメキ


ひと月ぶりの五ヶ所。
なんせ今年の夏はとんでもない暑さで、
どこへ出かけるのも億劫で、
しかも雑用が後から後から追いかけてくるようで。
のんびり釣り糸垂れるのもママナラヌかな、ってね。

想いうかべてみると。
少年のころは釣りぐらいしか楽しみがなかったような気がして、
腹を空かし、辛いのはだれもが同じで、
ただひたすら浮きの沈むのを待って・・・いつしか日も暮れ
・・・次の日もまた希望に満ちて・・・そしてまた日が暮れ、
そんな単調な繰り返し。
でも、退屈なんかしなかった。

今の自分は日々の雑用に追われ、窮屈な時間を消化するのに
精一杯で、
あのころのような激しいトキメキがすっかり失せちまって、
なにか大事なものを無くしたような気がしてならない。

なんにも無かった時代。
あぁ、ガキのころの無我の自分に出会いたい!
静かな海に漂っていると、
そんなこと、しきりに思ったりするのだ。


友人夫婦が夕方突然やって来た。
夜長までたっぷり話し込んで久しぶりの再会を楽しんだ。
翌日さっそく舟を漕ぎだしたのも、釣好き夫婦ならでは光景。
入り江の端から端までギッコギッコ漕いでいくのが、ベランダから
しっかり見え、かすかな不漁の予感も。

夕暮れになって夫婦が帰り、さっそくバトンタッチして海原へでた。
前日は終日雨だった。
しかし今、見上げる空は薄曇り、涼しい空気が肌をなめる。
あまりの気持ちよさに思い切って遠出してみることにした。
いままでの酷暑がウソのような秋の気配。

釣れるような予感のなかで、釣れるのは小アジばかり。
釣っては放流の繰り返しで、トキメキなんてあったもんじゃない。
秋の海の心地よさがなかったら、とっくに退散していただろうに、
すっかり長居した。暗くなるまえに退散だ。

残りわずかなエサに未練が残って、途中停舟。
我が家に近いから不安もない。
ダメモトで一投。
無我の悟りがチョッピリ、それがエカッタ。
ひさびさのトキメキが、脳天を貫いた。



残暑の残る夕暮れ景色


8月中旬の釣果。
夕暮れしっかり粘ってこれだけ。


上の釣果の前日夕暮れの釣果。中アジ3匹だけ。









雨に煙る入り江
せっかくの連休がほとんどこんな感じ
.... 友人夫婦が帰ったあとのトキメキの一品
小アジは遠場で釣ったもの
34cmの大アジはすぐそこで