確信

未明のテレビの天気予報で、五ヶ所に行くかどうか迷った。
連休の三日間とも雨の予想。

一旦箪笥に仕舞った着替えを、またボストンバッグに詰めたのも
初めてなら、出発時間が9時近くなのも初めて。
こんなことは今まで無かった。行くのを迷うなんて。

しかし、雨模様だから密かな楽しみもある。
庭仕事をしないで済むから、体力が温存できる。
強烈な日差しに悩むこともない。
しかも、退屈しないで済む「確信」もある。

二日目の朝、四時ちょっと前。
干潮の底と重なって、舟の離陸が大変だった。
その上、アンカーを下ろすとき、イワシ踏んづけ、危うく海に転落
しそうになった。

静かに走らせていたのに、イワシが舟の中に飛び込んだのが
気づかなかった。
脂がたっぷり乗っているから、よけい滑る。
危うく暗闇の海で、シンクロやるとこだった。

今年初めてのアジ釣りだから釣れてモウケ、釣れなくても
仕方ないや、と思っていたが・・・・
イワシがおれば、アジがおらん訳なかろうと、
糸を垂れる前に「確信」を持ってしまった。

サビキかごにアミエミを詰め替える回数が二桁未満。
あっという間に勝負は付いてしまった。
食うぶん差し引いても余りある。しかもようやく空が白んで
きたばかりだというのに。

アオリイカを狙ってみようと、少し沖に出てみることにした。
勝負は早い。
最初の一投目に来たから、たまらない。

後は・・・・・・・

        ・・・・・・・・・
さかなをトレイに並べた。
さあー、写そうとデジカメのスイッチを押した。
しかし、ウントモスントモ。
なんと記録媒体がないのだ。
鵜方の大型電気店で買い求めたのが夕暮れ時。
それまで、冷蔵庫でお休みしていただいた。

曲がって硬くなった魚を、グイッと真っ直ぐに伸ばし、
どうにか撮影にこぎ付けたのだが・・・・

これほど苦労して、撮らなければならない理由とは。

一に、釣り人の空威張り。
二、三に何もなし。


               ・・・・・・・・・・・

そして、同じくその日の夕暮れ、デジカメで写真撮影したあと
アオリイカだけを狙って舟を出してみた。
もういない、という「物的証拠」を得たいし。

しかし、証拠のない証拠さがし、というのもなぁ。


五十肩が痛くて痛くて、夜に何度か起きてしまった。
アジの強烈な引きを、無理に耐え抜いたのが原因か、

それとも、くどいほど重ねた、
          アオリイカのサビングが原因やろか。