警報

今にも降り出しそうな気配。
未明の釣りだから空が白んじてくるまで分からなかった。
濃厚な雲が東の方から覆いかぶさるように流れてくる。

釣り始めて5分ぐらいで強烈な突っ込みがあった。
だいたいこんなものである。
ヤツラが近くにおれば毎度お馴染みの反応だ。
毎度お馴染のウレシサがこみあげる。

しかし、姿を見たもののアッという間にアウト。
口ぎれである。 相当デカかった・・・。

アジの散った後はしばらく沈静化のためのタイムラグとなる。
で、時間をとって仕切りなおし。
そして予想どおり、またしても強烈な突っ込みがあった。



ここで決めないと後が無残。
サカナの学習能力を甘くみてはいけません。
毎月毎月痛い目にあっているから身にしみているはず。
それも1年2年のことではない。
学習蓄積は7年にも及ぶ。
もちろん教師はワタクシであります。

さて、その突っ込み、またしても同じ結果になってしまった。
ゴムクッションもあり、ミチイトはナイロンなのに・・・無念。
もうこうなると、次の突っ込みまで相当な時間を覚悟しなけ
ればいけない。
彼らの学習成果にすなおにウナダレルしかないのです。

10分も過ぎたころだろうか、3度めの突っ込みだった。
こんどこそ慎重に、慎重に。
タモ入れも慎重に、慎重に。
でも、ややカタが今までと違う。
そうなのだ、バラシを繰り返すとだんだんとカタが小さくなって
いくのだ。
やがてそのうち小アジに切り替わる。
そうなるとオシマイです。

    
小あじで止めとけばイイものを
欲をだして釣り続けていたらサバの襲来を受けました。
なんとかサバをかわそうと躍起になればなるほど
アリ地獄です。
仕掛けもオマツリしてすぐにパーです。

結局仕掛けを二つもサバで失い、あまりの悔しさに
サバの尻尾をトッサににぎりましてね、
思いっきり振り落として
アタマを舟のヘリで叩きつけてやりましたよ。

バカだねぇ

分かっちゃいるのに止められない、という歌があって
オシマイと分かっているのに続けちゃう。
いつか空が暗くなって、
朝の7時だというのに湾内にスピーカ音が鳴り響いた。

「緊急警報 伊勢志摩に大雨洪水警報です・・・」

空を見上げるとぶ厚い雲から雨粒が顔に落ちた。
ま、仕事の緊急呼び出しよりマシか、
焦って帰ることはないし。