流れ星


このところ夜の釣りがつづいている。
昼間は釣れそうもないし、しかも緊急呼出しも多いし・・
小生のような小心者には、静まり返った夜が一番安心
できる。

しかし、夜というのはいつも孤独だ。
海にポツンといると、周りが暗いのでつい空を見上げて
しまう。
びっくりするほど星が輝いていたり、流れる雲から月が
照りだしたり、結構変化があって退屈しのぎになる。

ひとりがイイのはこんなときかなぁ。
ガキのころ眺めた夜空が、今、目の前にあって
こころはいつか夢模様だ。

合板で覆いを作ってみました。
それまでは、ボートをひっくりかえしたり、
それがシンドクなって
防水シートで覆ってみたり、
結局それもシンドクなって何もしないままでいました。

すると、舟底に雨水や木の葉が溜まります。
すると、ボーフラが沸いたり水ゴケが発生します。
その掃除がまた大変な労働でして、
そこで、うんとこアタマを使い、
こんなものを作ってみた訳です。
単純ですが。
流れ星が北の方向に向かった。
流れ落ちた先は故郷の小川だ。
小川には大鯰が住み、驚いて茂みに逃げていった。
そこには、膝まで水に浸かった幼なじみのトシオが、
両手を広げ待ち受けている。
手づかみ漁はトシオといつも張り合っていたんだよなぁ。

そうだ、庄川に通いだしたのはその後のことで、
中学生になった頃だ。
砺波平野を貫く大河は、対岸が霞んで見えるほど大きく
みえた。
ヤスで魚を突くときの興奮、あれは今でも焼きついている。
素もぐり漁は級友のアキオとイイ勝負だった。

庄川で初めて水中銃をみた。
見知らぬアンチャンたちが、手製の水中銃で鮎を突いて
いたのだ。
怖そうだったけど、近づいていって水中銃を見せてもらった。
手にしてショックをうけた。
スゴイものを造ったアンチャンが偉大におもえた。


やがて工業高校に入り、期待の水泳部に入部した。
しかしそこには、デカイ面した意地悪そうな先輩がいた。
庄川で見たアンチャンだ。

入部の儀式だと言って、飛込み台に連れていかれた。
10mの高台から蹴落すつもりである。

蹴落とされる前に自分から飛び込んでやった。
しかしとっさのことで、股を広げたまま飛び込んでしまった。
キンタマがまともに水面と激突した。
痛いのなんのって、その痛さったらキンタマが破裂するかと
思うほどだった。

・・・そんな他愛無い思い出がグルグル回り、どんどん
広がって空を駆け抜けていく。
予想外の大物を釣った後は、とくに、空を見上げる余裕も
生まれてくる。

もっともデカイものは35.5cm.
6月のこの時期、まず釣れないだろうと
思っていたからおどろいた。

しかし食してみると、やはり脂が乗っていない。
秋口なら胃の中は小魚が詰まっていることが
あるのに、空っぽでした。

......