フィッシング・プアー
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近頃、ともかくナマクラになった。
釣りへの気力と体力が乏しくなったのである。
これは庭仕事で体力を使い果たし、わずかに残す余力では
好きな釣りでも気が進まんなぁ、
と思っていたが、
原因は別にもあった、ということに気づいた。

その原因とは「釣れない」ことだ。
潮を考え、仕掛けを考え、広くポイントを探り
日々これ、ケナゲな努力を続けてもダメなものはダメ
なのであります。
恋愛でもマージャンでも努力すれば、いつかは報われる
もの。
釣りも努力すれば報われた。
今まではね。
しかし、どうしたんだろう、さっぱり釣れなくなった。

湾内の定置網は、ことごとく更新されていくようで、しかも
延長されたとこもある。
海外の安い輸入物に漁師さんは悲鳴をあげている。
近海では年々漁獲高が落ちている。
乱獲と海の自然荒廃が原因だと言われています。

漁師さんも必死なのだ。生活のため目先の漁獲量が関心事
となる。
やせ細る水揚げに、働くほどに豊かさが消えていく。
悪循環から逃げだせない。
これはいわゆるワーキングプアーと言えないだろうか。
働けど働けど楽にならず、
青年を中心に全国的に進行しているものだ。

そして、ノーテンキなワタシにもその影響が及ぼうとしている。
貧果な釣りの悪循環の到来である。
自分の努力ではなんとも成し難いものとなる。
これをフィッシング・プアーと呼ぼう。

釣りごときでアホかと思うが、これには訳があり、
趣味の問題ではないのであります。

無収入となる数年先、自給自足的生活が破綻しないか心配だ。
一日に一度だけでいい、
アジやキスの開きが食卓にのぼりさえすれば、
もし、それが適わないとなると、
希望のない人生となってしまうのです。


アジを狙って我が一級ポイントに陣取りました。
今まで外れてことのない当確場所ですが、時間だけが
むなしく過ぎていきます。

唯一、予想もしていなかったカサゴが慰めてくれました。




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