超高級魚と占い


夕方から崩れるという土曜日。
海は春の日差しで満ちようとしていた。
今年はじめての釣りである。

いつもは、庭仕事を片付けてからでないと気が進まないの
だが、明日を待っていれば冬型の気圧配置になってしまう。
この時期は水温が一番低い。
その上、冷たい北風なんかに身をさらそうなんて、そんな
元気もないのだ。
暖かい陽射しは今日しかないだろう。
釣れなくていいから春の波間に抱かれてみたい、という
気持ちになったのである。

水温が暖かいせいか、キスも元気そうだ。
ホウボウも釣れた。
風が強くなってパラシュートアンカーを出した。
このアンカーは長方形で、珍しくもあり、半年以上
前にネットで買い求めたものだ。
初試用だったが、期待以上の効果がありそうだ。



それまでは丸型のパラシュートアンカーを使っていた。
15年以上前のこと、使わなくなったナイロンテントを裁断し、
細引きを縫いつけたもので、大きさの違うものを2個
作ったのだ。
ミシンも、当時わざわざそのために買った。


風にまかせ、流し釣りしている舟は5隻ぐらいか。
しかし、パラシュートアンカーを使っているのは自分だけ
のようだ。
キスのアタリは心もとない。
送り込んで合わせないと、空振りに終わってしまう。
アンカーリングしても空振りが多いのに、アンカー
無しの舟はどうしてるんだろう。


風は南から吹いている。
どんどん強くなってきた。
エサも無くなった。
風に舟をまかせれば、しぜんと我が家に戻れる。
最後のエサをつけ、帰りながらの釣りだった。
・・・そして
    
キスは20匹以上釣れた。
型はイマイチだが、うれしい魚信が伝わってきます。

我が家への帰り路、衝撃波が走りました。
キジハタ(アズキマス)が水面に現れるまで、ナニがなんでナニがどうなったかさっぱりわからない、この世で一番シアワセな時を味わいました。

なんだか自分の人生を占うようでして、
最後に笑うもの?一発大逆転の運命?
けっして釣りだけの世界で終わらないような、 そんな気がしてまいったのでごじゃります。