漁礁造り

唐突ですが、
ワタクシには長い間にわたり培ってきたものがあります。

 「遊び道具は己の汗で手にいれよう」

 「他人から借りた道具で遊んでも、一生身につかない
  遊びになってしまう」

遊びに真剣に生きてきましたから、道具に対しても
やや真剣なんであります。

釣りを一度もしたことのない後輩が、「釣りをしたい」と
言いました。

五ヶ所に手なずけるには、もってこいのチャンスです。
ただ、ダラ(富山弁でアホ)な後輩ですから、
手ぶらで来ればワタクシが何とかしてくれるだろうと、
ダラなことを考えていました。

当然、きつく叱りました。

後輩たちを案内して秋の海を散歩です。
今回は強制労働を課しませんでした。



でもこれで、「来るの やーめた」なんてことになっては
いけません。

回遊する魚を居着かせるには、漁礁が必要です。
漂流する後輩を五ヶ所に居着かせるには、ヤサシサと
いう漁礁が必要となってまいります。

少しでも五ヶ所に留まってほしい願いから、ワタクシは
信じられない行動にでました。

1,280円で糸付リールと竿のセットを、事前に買い求めた
のです。
一番安いセットを探すのに半日を要しました。


ダラ後輩は、先輩から渡された竿セットを手にし、
しばらく言葉がでませんでした。
感謝で胸が熱くなっていたのです。



で、これで終わらせないのが
我が人生訓の厳守。
 
 「遊び道具は己の汗で手にいれよう」

 「他人から借りた道具で遊んでも、一生身につかない
  遊びになってしまう」

厳しく言い渡しました

 「銭をさっさと払え!」


大きめアジは後輩が釣りました。
それで写真を撮るため並べていると、後輩が
「一番大きいのはだれが釣りましたっけ?」
と呟きました。

この後、ダラな後輩に
アジを刺身にし、食わせてやりました。



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