五ヶ所湾の実力


釣り餌屋のサニー園の隣は公園だ。
公園とのつき合いは14年前になる。
まだ小屋ができあがる前のこと、公衆便所と貰い水に通った
のだ。

この公園にハナミズキが植えられたのが4,5年前だと
サニー園の親父に教えてもらった。
4月の末に来たときは見事に咲いていたのだが、今はすっかり
落花している。
一週間で驚くほどの様変わりだ。

様変わりしたのは海も同じみたいだ。
デカアジが釣れだした、と親父がいった。

半身半疑で竿を出してみました。
数刻のあと
ドカドカとやってきました。

コノシロにサバも混じって
まるで秋本番の賑わいをみせました。

コノシロもサバも刺身にして食ってみましたが
まあ、経験しておくのも大事ですから
それを耳にした以上、
ワタクシには穏やかにすますことは許されない。

あすは、
50年ぶりに大阪から従姉妹が訪ねてくる予定だ。
彼女は3歳年上、少女時代の顔しか思い出せない。
とても利発的で、可愛らしいという記憶が残るだけ。

突然のこと、
彼女は急にボクに会いたくなったと言い、ボクも、とてもとても
会いたいです、とこたえた。

彼女をもてなすには何がイイのか。
五ヶ所随一、最高のご馳走でなければならない。

翌朝に釣りあげたデカアジは刺身になった。
極上のごちそうだ。
妻が、刺身のつま用にと大根の千切りを添えてくれた。


刺身は従姉妹の箸によって、みるみるうちに消えていった。
50年の歳月も、みるみるうちに埋められていった。


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デカアジを釣った餌が半分以上残ったので
従姉妹が帰ったあと夕方に、また舟をだした。
釣ったデカアジを裁いていると、大工さんたちが取り囲んだ。
みな、驚くばかり。

デカアジを刺身にしてあげることにした。
一人一匹、4人分。
4匹のデカアジを、いっきに刺身にしたからドッと疲れがでた。


次の日、大工さんが言った、
「生まれてはじめて、こんなうまい刺身を食った」

うれしいじゃねえか

デカアジの群れがやってくる寸前です。
このメバルの引きは
タダゴトではありませんでした。

29.5cm

カカーさまに、すべて食べてもらいました。
日ごろの感謝の印として、
すべて、カカーさまに差し上げました。




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