竿一本に未来を託し

食糧自給率が低い。
カロリーベースで4割以下。
魚介類は6割以下だ。
先進国のなかで最低の自給率と知って、もう何年に
なるのだろう。

年々下がり続ける自給率に、ため息がでるばかり、
無力感だけがのこる。
ああ、この先どうなっちまうんだろう。
書店に平積みしてあった本の題名が
 「全世界バルブが崩壊する日!」

中国発の世界恐慌が間近に迫ってるという。
もしそうなったら、
のんびり釣り、なんてやっていられるんだろうか。
涼しい縁側で、釣りたてのアジの刺身に身をトロカせ、
デザートは冷たいスイカなんて、こと可能だろうか。

余談ですが、
スイカは家庭菜園での収穫、肥料はアジのワタ。
涼しい縁側はヒノキの厚板がよろしゅうおますなあ。



出漁すれば必ず釣果あり・・・

釣果は未来を占い、
老後の死活はアジ一匹にかかっています。





うふふふ
足りないあたまで考えてみたら、これがナカナカ。
ハイパーインフレで年金が紙くずになったとして、
しかも食糧難が現実のものとなったとしても、
さほどウロタエルことはなさそうだ。

豊かな海が目の前だ。
釣竿一本あれば飢えに苦しむことはないだろう。

その上、ワタシには天賦の才能がある。
それは舌が痩せていることだ。
いわゆる美食家と反対の極地にあって、美味なる物への
執着が全くない。
ただ唯一の関心は、腹が満たされるかどうか、この一点だけ。


一日たっぷり汗をかき、お腹がペコペコだと、ご飯に味噌汁
をぶっかけただけでも大満足。
腹ペコのときは何でも美味しく感じるものさ。
さらにアジの干物と青菜のお浸しが加われば、五つ星
レストランのグルメだって足元に及ばないだろう。

しかし、テレビ番組の大半がグルメがらみといってイイ。
「素材」とか「食感」とかの本物志向が漂い、
舌音痴のワタシは、完全に取り残された感がする。

でも、世の中は空前の自給率低下。
食糧危機が近づいていることは間違いない。
グルメ元禄が終り、厳しい時代が予想される。

いざとなったら、
竿一本、これに身を任せる他はないだろうなあ。
一日、アジ一匹、これに未来を託すことにしよう。



釣った魚への供養花、
西洋ニンジンボクとムクゲとキキョウです。
写真を撮って用済みになり、
流しのシンクに捨てたままでいました。


いつのまにか竹筒に
それらが生けられていました。



......