一喜一憂

......



掛けた!!
そのときに走る衝撃波、全身の震え、
それは釣り師だけの特許、
いままでの苦労、鬱積が吹き飛びますね。

だが、
海面を割って飛び出したのがフグだとしたら
それは何でしょう、
釣り師だけが味わう、挫折感・・・




一つテンヤでマダイを狙います。
先回は初竿でいきなりの本命でした。
まさにビギナーズラックです。

そして今回が2回目。
五ヶ所湾に浮かぶこと10数年、遊び人として
真価が問われます。

まずは、先回でイイおもいをしたポイントへ直行。
同じポイントを流します。
ぼんやりと明るくなり、期待度100%です。

海が朝焼けで染まってきました。
いまこれから起きるであろう「大衝撃」を、どう受け止め
たらいいのでしょうか。

何度かエサを付け替え、「大衝撃」に備えます。
同じところを何度も流しました。

やがて穂先がゴニョゴニョ、
グィっと竿を立てると、

きたぁあーー














次の日の朝です。
フグの餌盗りを避けるため場所を替えます。
やってきたのは尼崎灯台の東側。
昨日と同じように、朝陽で輝きだしました。

何度かエサを付け替え、「大衝撃」に備えます。
やがて穂先がゴニョゴニョと震え、
グィっと竿を立てると、

きたぁあーー

場所を替えたから同じ手はないだろう。
フグだけはゴメンです。

掛けた!!
そのとき走る衝撃波、全身の震え、
それは釣り師だけが感じる喜び、
昨日が散々だったから
いままでの苦労、鬱積が吹き飛びますね。

だが、
海面を割って飛び出したのが、またフグだとしたら
それは何でしょう、
釣り師だけが味わう、挫折の山
海は、ときとして悲しみに満ちあふれます。






ここで終わるとしたら、あまりにナサケナイ。
一発逆転はありえないのでしょうか。

エサも無くなったし、もうそろそろおしまいにしようと思い
ました。
意欲が冷め、ただ疲れだけが沸いてきます。

エサの点検のため、リールを巻いていると
やがて穂先がゴニョと曲がり、
グィっと竿を立てると、

おっと

きたぁあーー

グングンと引きが重い、確かな手ごたえです。
なんとイトヒキダイ。

塩焼きにしたらたまらなく美味しかったです。

改めて思い知らされました。

海こそ希望に満ちているのです。
自分に都合よくできているのです。