土とたわむれ
二度あることは三度あるもの。 またまた、石と石に指を挟んでしまった。 もう、痛いというもんじゃない。しばらく息をするのも辛くて死んでしまた い気持ちだ。 一時でいいから世間から消えうせたい、この痛みから逃れるために。 先回痛めた指の、また同じ爪をつぶしたもんだから痛みは倍。 もちろん軍手をはめているが、石につぶされたら役にはたたない。 こんな痛いおもいまでして…と思うのだが。 でも土と格闘していると、そんな痛さもやがて忘れてしまう。 「大地が傷を癒す」…なんて、名言があったろうか。ワガ身をもって知っ たのだから説得力がある。 ココロの傷もきっと癒してしまうんだろうな。大地にはそんなパワーが隠 されていそうだ。 今回は出来悪後輩がいない。細君に気がねして実家通いとは情けな い。 精神未熟症が治りかけだったのに残念なこと。せっかく大地の治癒力の おかげで回復しかけていたのに、ぶり返すではないか。 一人で持ち上げれない大きな石を運ばなくてはいけないのに、肝心な ときに役にたたん。 困ったやつだ。 先回のロックガ−デンは、およそ1/3ぐらいの面積を仕上げた。 まだ半分以上残している。しかも階段の擁壁を石垣にもしたい。コンク リート製のものから天然素材に変えたいのだ。 そう思い立ったら後に引けなくなってしまう性分だから気がはやる。 でもその前に、まだまだ気の遠くなるような作業が待っている。 既存の擁壁コンクリートブロックを撤去し、土を掘り下げることから始め なくてはいけない。 大量の土砂も処分しなければならない。一部は新しい小屋の犬走りの 拡張に当てよう。 そして残りは芝を敷いてある海辺に降ろせばいい。 我ながらいいアイデアが浮かんだものだ。ちょうど芝生を張った地盤が 次第に下がってきたので補填すればいい。 2年前に芝生を剥がして土盛りしたばかりなんだが、またまた10cmぐ らい地盤沈下してしまった。 はやく沈下が止まってくれればいいが、満潮から干潮になる時に、土 砂が海水と一緒に吐き出されるのかもしれない。器用にも、コンクリート 製堤防の基礎をくぐり抜けていくのだろう。 思えば、この4〜5年間、土砂を上に運んだり下に降ろしたり、そんなこ との繰り返しで、一体何をしていたのか疑ってしまう。 まず、海辺にバラックを建てるときのこと。地ならしをしたら大量の土砂 が余ったしまった。 | ||
上から階段を見ます。既存の土止め ブロックを撤去したところ。 | ||
下から階段を見ます。石垣を積んで いきます。 | ||
斜面に石を埋め込んでロックガーデ ンを完成させます。 | ||
丁度駐車場を少しでも大きくしたかったので、そこに投入することにし、 一輪車で運び上げたもの。 出来悪後輩の腰にロープを巻きつけて引かせたのだ。 動物だったら素直なのだが、一往復する度にサボりたがるから始末に おえない。しかも途中で休憩をすること、しばしば。 しかし、人間も動物の一種なんだなあと、つくづく思う。 長い間、ロープで引かせていると、自分が荷引き馬のような心境になる んだろう。 その内おし黙ってしまい、坂の途中で休まなくなって、掛け声をかけると すぐさま反応して力を込めるではないか。 急な登り坂では「ハイッ ドオー」、とムチ打つんです。 こんなこと、朝から晩までつづけること幾度となくやってきたんだから。 そもそも落差20mもあれば、8階建てのビルと同じ。上がったり降りた り。…せっかくの土曜、日曜の休日だというのに。 これほどのエネルギーを世のため人のため、例えばボランティアなどに 費やせと言われても、きっと無理だろうなぁ。 尊敬されることはあっても、バカにされずに済んだろうに…。 そんな過去を思い出しながら、来る日も来る日も土砂を削り、それを運 び、石をひとつひとつ積んでいく。 岩石は先回の出来悪後輩との作業で、ほとんど使い果たしてしまい、 車で運んでこなくてはいけない。 およそ7〜8個ぐらいしか車に積めないので、石置き場を14、5回も往 復しただろうか。 |
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ひとりだけの作業では懸垂下降を 応用します。手元をごらん下さい | ||
カラビナを使って、石を降ろします。 ロッククライミングの応用です | ||
中には一人で持ち上げれない大きな石もあって、どうしても欲しい。 イザとなれば火事場の底力、バカみたいに運んでしまった。 愚妻が見かねて、ホドホドにしたらと忠告する。 たしかに急ぐことも無いし、のんびりやればいいのが分かっているのだ が、それが結局できない。 とんでもない早朝に目が覚めて、やがてつぎつぎと作業のことで頭の 中が一杯になってくる、そうなると再び眠れなくなってしまう。 暗闇のなかで起きているほど辛いものはない。 そんな繰り返しだから早いとこ「カタ」をつけたいのだ。 冬の一日は短い。惜しい一日が瞬く間に過ぎ、また一日が過ぎていく。 そしておよそ10日間。どうにか完成した。 してやったりだ。 | ||
手作りの土固め道具です | ||
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