清め

3ヶ月ぶりの五ヶ所。
手に大怪我をしたのは年末。
欲をだして土地を買い増し、おまけに廃屋に眠っていた仏像を
手荒く放り投げ、
打ち捨てておいたのが原因。
と、妻が言った。

恐るべし天罰。



仏像もあれば灯篭もあり。
画像の左上にはコンクリート製の橋も。
もちろん人が乗っても大丈夫。
どれもこれも先人の遺作。
およそ30年前。

3年前に亡くなった爺さんは、だれも相手にしない風来坊だった。
先人はその爺さんの兄貴で、20年前くらいに他界した。
風来坊の弟は兄貴が亡くなった後、後釜としてこの土地に
居付いた。

しかし、この土地はいずれの者の所有ではなかった。

入口近くからの風景。
手前には白い花の桜、それに椿。
右の遠くには吉野桜。
その奥にはヤマモモの大木。
桜だけでも10本近くありそうだ。

さて、中央遠くに構えるのは?



海辺では貴重なフラット土地。
赤茶けた土は、残土をばらまいたもの。
廃屋の基礎部分を敷地内で処分するために、大穴を掘って
埋めたのだが、その際の余り残土である。

この場所から道を隔てて我が家が見下ろせる。
そして海も見え、ホットする。

廃屋を取り壊し、竹を切り倒すと、とてもスッキリした。
ここに小屋を建てようか、それとも畑。
将来の夢が広がる。



自然の中におもいっきり身を投げ出したい。
少年のころの自分に出会いたい。
そんな夢を適えてくれそうなのが五ヶ所。

カヌーイストの野田さんは四国に広大な土地を求めた。
敷地内には清水が流れる川があって、
朝から晩まで川遊びにふけっているみたいだ。

作家の椎名さんは北海道で海が見える広大な丘を求めた。
海が好き冒険が好き、で有名だ。
自然派作家にとって最適なアジトらしい。

私にとって自然志向の先輩たちは人生の鏡である。
だからといって、
妻の猛反対を押し切り、欲張って土地を買い増ししたこと、
しかも仏像をないがしろにしたこと、

それらを免罪してほしい、
なんてこと、言えないだろうか。



妻が朝早く起きて、
お払いに塩を撒き土地を清めたことを知った。
先人の最大の遺作である。
およそ5mの高さ。
コンクリート製七重の塔。

土地の所有は先人の姉にある。
その土地に勝手に住み着き、職業も持たず、姉に生活費を
頼り、創作に黙々と打ち込んだ結果。
こんな「芸術品」を生み出したのだった。
もし生きておれば80歳くらいだろうか。

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