ユンボ

あこがれのユンボである。
運転する機会があればと、かねがね思っていた。
これがあれば一月の仕事が半日で済む。
ユンボを操る自分をたくましく想像し、息を殺してきた。

駐車場の整地を依頼した工務店と交渉した。
この言葉を聴いたときの感激、

「数日間、自由に使ってもらっていいですよ」

もう顔がヨロコビでグチャグチャ。

工務店の手ほどきは3分もかからない。
帰る車を追いかけていって、操作方法を一から確認。
悲観してないが、
記憶力が普通の人の半分にも及ばないのだ。


バケットで土をわしずかみにして、アームを思いっきり高く
持ち上げた。
高い位置でバラバラと土を落としてみた。
ついでにバケットを揺らし、残った土も落とした
初めてにしてはサマになってるな、
と内心感心する。


リズムに乗るのにたいして時間がかからない。
イイ調子だ、プロの自分を想像する。
レバー操作をもっとスピーディにしよう。
大木の根を掘りあげてやろうと、爪をくい込ませ、
アームレバーを思いっきり曲げてやった。 

アラララ!

体がグワーンと前のめりに。
根っこが抜けなくて、
代わりに車体が大きく前に傾いていくではないか。
なな、なんだなんだ パニックじゃねえか!
まさか車体が浮き上がるとは・・・・そんなことあんのかよ

しかし・・・イイ経験になった。
素人が調子に乗ると怖いという見本をみた。

だが、よせばイイのに次の日も
そして次の日も
同じ根っこに挑戦しては、
毎度肝をつぶし、たっぷり冷や汗をかいたのに、
結局、根を掘り出すことができなかった。

工務店の大将が言うことには
ユンボの操作を覚えるのは人まちまち、
個人差が大きい、と。

ならば、その差を埋めるのが我が熱きココロ。
ジジィにして最後のチャンス、
見事、手なずけてみせようじゃないか