ふれあい

台風の爪あとが生々しい。
五ヶ所まであと十数分のところです。
なんだか家の様子が気になります。

まさか敷地が海に面しているからといって
ドカンと陥没しているなんてことに・・・

そんなことある訳ないのに。






庭仕事と釣りでヘトヘトになったので目先を変えてみることに
した。
五ヶ所滞在四日目のこと、名古屋へ帰る日です。
三日間だれとも会話がなかったので人恋しくなったのです。
はじめての小道をトボトボ歩いていきました。
うれしいなぁ
おだやかなご老人に出会いました。

半時間もお話しをしたでしょうか、
身勝手な放浪人のために作業中の手を休めさせて
しまったのでした。





五ヶ所をブラリと歩いていると、とても気持ちが安らぐ。
それは景色の良さもあるが、人情のゴチソウを思う存分に
味わえるのが大きい。
都会で荒んだココロを癒すには最高のところだと思う。

ただ地元の人にとって全てがイイとはいかないようだ。
生活する手立てが万全ではない。
農業と漁業だけでは心もとないのだろう。
若者が現金収入を求めて都会に出て行ってしまう、典型的な
過疎地帯でもある。
その厳しさは余所者において容易に理解できないのかも
しれない。

今日はツイテます。
みかんの木の下草を刈り取っていたおばーちゃん。
背中ごしにヤワラカク声をかけました。
オドロイテ気絶しないためです。

ナツミカンとアマナツとハッサクが植えてあり、
その違いをとても丁寧に教えてくれました。
出来のワルイ小学生に、やさしい女の先生が諭して
いるような感じです。




しかし、住み良さにおいてはだれもが誇らしげに語って止まない。
不思議に思うのは、経済的な豊かさが人間的な豊かさと
重なっていないことだ。
そのことを地元のかたが一番知っているから恐れ入る。

経済至上のこの国において、なんとも当てはまらない世界。
まるで「おとぎの国」のような錯覚さえ覚えてしまう。



五ヶ所湾が一望できる散歩道です。
みかん畑の間を縫って気ままに歩いていくと
あたたかなふれ合いが待っているようです。

また一つ、五ヶ所の宝物が増えました。
................... ミカン山から降りてきてキョロキョロしていました。
降り口に廃業した旅館があったので、にわかに興味が
沸いたのです。
中の様子を見てやろうと玄関に近づいたり、離れたりして
いたら、
「あんた なにをさがしてんの」 と、

勝手口のコンクリートの階段に腰掛けていたお二人に
笑われてしまいました。
さて、こんなことがふれ合いのキッカケになるのです。
雑談を楽しんでいると、通りすがりのいろんな人が
声をかけていきます。

「ちょっとおそかったな 足元にカンカン置いとくんだったさ」
「ぎょうさんこと 賽銭集まったにさぁ」

と、ケラケラ笑うのでした。