運動会

................
どんよりとした朝。
寝床で起きようか起きまいか迷っていた。
どうせ起きても雨模様だから庭仕事はできないし、
ひとりだから起きてもかえって退屈だし、このまま眠っていようかなと。
そんなときだった。
入り江の向こうから華やかな歓声が聞こえてきた。
保育園児のリレー競争です。
女児が一生懸命で走ります。
小さな運動会ですから声援は大きくはありません。
でもみんなが応援します。

私も胸が熱くなってきました。
小さな声でつぶやきました。
ガンバレー
ガンバレー ハイジー


お年寄りの缶釣り競争です。
地元のお年寄りはいつも控えめです。
競争とは縁なく過ごしたきたのでしょうか、
ゆっくりゆっくりです。
先を争わないのが年寄りの美しさ。
私も中に入ってみたくなりました。

賞品にもらった花の苗、
さっそく中を覗き、気恥ずかしそうにしたオバーチャン。
つい声をかけてしまいました。






後輩の娘さんとオトモダチ。中学3年生。
人生の黄金期です。

この時期、どこの親も子離れの寂しい思いをさせられます。
子供からの親離れが加速的に進みます。
それはそれでオメデタイことでありまして
親は遠くから眺めておれるだけで幸せなんであります。

せいぜい親のできることといったら運転手がわり。
いつか私が通った同じ道を、後輩も辿るのであります。






つくづく同じだなぁと思うのがこの写真。
同じ夏の日、同じポーズで私の娘たちもこうして
海を背に写真を撮ってたなぁ、と。

当時の私は娘たちを甘やかせないのが「親」だとばかり、
無理を通していたようです。
硬派の親として娘たちに近づかず、娘たちを近づけさせず
、と冷たくて太い境界線を自ら引いていました。

なんでこんなカワイイ時期に、親として深く関わり会えな
かったのか。
気づくのが遅すぎました。
余裕の無さを何でも仕事のせいにしてきたのです。
正直、仕事で精一杯だった。
子供よりも仕事への関心が優先した時代でしょうか。

今こうして、写真を眺め、目を細めていると
失ったときの大きさを改めておもい知らされるのです。