天敵伝

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明けても暮れてもこればっかり。
鹿との綱引きが続きます。

一夜にして変貌する庭の惨状に・・・
奴らの侵入に、怯える日が続きます。


噛み切られたネットの補修です。

奴らはネットの下を潜り抜けようとします。
これが鹿の習性、だということを知りました。

そうはさせまいと、ネットを地面に1mほど垂らします。
さらに用心して金具でネットの下端を固定します。

それでも奴らはあきらめません。
地面を覆っているネットを手当たりしだい噛み切ります。

土手は崩れ、生々しい足跡が残ります。




裏の竹薮のネットも噛み切られています。
今まで噛切られた場所は4ヶ所。
もう一つ増えれば五ヶ所・・・湾だ   な〜んて笑って
おれません。

奴らは同じ場所の侵入を何度でも繰り返します。
とてもシツコイのです。

仕方がない付き合いましょう。
シツコサでは負けやしない。

ネットを張る際に邪魔になるだけと、取り外した有刺
鉄線を再び張り巡らします。
有刺鉄線を外して、又張って・・・この苦労、涙なくして
語れましょうか。
執念の戦いです。

奴らが首尾よくネットを潜り抜けたとても、
さらに第二のバリア、有刺鉄線が待ち受けることで
しょう。







 鹿は夜に、林縁部の草地に出て食事します。これがその1
............................... 道路沿いにパッチ状に点在する草地、その2
........................................................... 鹿が大集合。道路沿いの草地その3



鹿が爆発的に増えたのはなぜだろう。
一つには天敵がいなくなったのが大きい、と言われています。

すでに狼は滅び、番犬はペット化し、猟師は減少と高齢化で弱体化している。
天敵の存在はもはや絶望的と言えましょう。

しかも、鹿の容姿から受ける印象です。
だれもが、「カワイイ」と思ってしまう。

そうした先入観は、天敵そのものを疎ましく感じます。
鹿による被害を直接目にしない限り、人々は天敵に冷たいのです。


ならば、
我こそ天敵になろう!
決心しました。

鹿が終結する草地、その4に出向きます。

時は真夜中、丑三つ時。
頭にヘッドランプをつけた天敵の登場です。

忍び足で草地に近づき、ヘッドランプを突然点灯すると
青く鋭く光る点が左右対象に2つ。
それが多いときには20ケ以上となります。

パチンコに小石を溜め、思い切り放ちます。

(左の写真は再現用ですが、ほぼこんなものです)

いきなり飛び込んでくる小石です。
光る点は激しく狼狽し、恐怖とともに闇に消えます。
しばらくして再び、今度は林の中から怪しく光る点が現れます。

第二弾、第三弾と撃ち続ける度に、林の中は騒然と化します。



......... やがて不気味なほど、物音ひとつ聞こえなくなります。
奴らが息を潜め、遠く木の陰から様子を覗っているに
違いありません。

そこで、ワタクシが頭上高くかかげたものとは!

そうです、葵の紋どころ、
イイエ、我が庭に設置してある防犯警報器。
奴らに向かって、けたたましい警報音を聞かせてやります。

鹿にとって不意打ちの夜襲。
さらに仕上げに警報音。

今までの鬱積が一気に吹っ飛びます。
この快感を求め夜毎、4ヶ所の草地巡りを始めました。
一晩に二回も奇襲をかけたのは、被害に遭って眠れぬ夜。


どうです、恐るべき天敵の誕生でしょう。

繰り返すこと、一年後、
鹿への学習効果が期待されます。





桂浜・・・もとい、中津浜


「 ここは五ヶ所じゃ、わしが惚れこんだところぜよ。

けんど・・・どんどん自分の居場所が

のうなっていく気がするき・・・・ 」



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