天空の里、果無村(はてなしむら)
..
.......................................... 露天風呂はどこがいいか?

海辺の次は山ですね。

山となれば源泉かけ流しが条件です。
秘湯を求めて

十津川温泉郷はかねてから狙いを定めていた
ところ。
泊りの昴の郷「星の湯」でさっそく味見です。

お金をかけたようで、そこそこヨロシイのですが、
露天風呂からの景色を垣根が邪魔しています。
それに肝心の温度が内風呂も外風呂も高すぎ
ました。

次の日は野趣を求めて「滝の湯」です。
上の画像のように滝が売りの日帰り温泉。

ここも温度が高すぎて昼寝どころではありま
せん。
南下して二日目の泊りは川湯温泉。
河原に湧き出る仙人風呂が有名ですね。

しかし利用が冬季限定のため、今回はあきら
めて、ホテル真下の露天風呂を堪能します。

ここは心ときめく混浴風呂。
ですが、浴槽が二つもありますから自然に
男女別々となるみたいです。

ロケーションが文句なしなのに何か落ち着き
ません。
客室から丸見えなので、仰向けで股を広げる
訳にはいかないのであります。





帰りの三日目です。
丸山千枚田へ行く途中、湯ノ口温泉に寄りました。

ご覧のようなトロッコでゴトゴト揺さぶられながら
温泉へ目指します。

六両だったか七両だったか、とにかく長い列車に
客は二人だけ。

帰りも二人だけ、
貸切りつづきで申し訳なくってねえ。


.。。 ここは数少ない秘湯と言えるでしょう。
傷みが進んだ家屋や脱衣室がそれを物語ります。

人がいないと思ったのに湯治客が数人。
僻地の人恋しさは気軽なお喋りで流してくれます。

話が弾むのは湯治湯ならではであります。










桃源郷を求めて

         


宿にあったパンフレットから果無村(はてなしむら)
という文字が頭に残って離れません。

熊野参拝道「小辺路」が通る小さな村なんです。

十津川村の二日目。
石畳のある道をひたすら登っていきました。

果無村(はてなしむら)への小道は山の中、
だれにも会うことなく心細いものです。




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そうそう、登りの前に吊り橋を渡らなければ
なりません。

一歩踏み出すとガタンと音が鳴って、大きく
揺れました。

とっさのことで足がもつれて、
若くない自分に気付くと、にわかに怖くなっ
ちゃった。

 ...... 登りの途中です。

大きく蛇行した流れは熊野川の支流の十津川。
流れがゆるいダム湖ですね。

中央に見える赤い屋根は何でしょう?
ずいぶんりっぱな建物です。

過疎地でしっかりした建物となれば、そうです、
老人施設に間違いないでしょう。








暗く深い山道の果てに、これです。
まさに天界に躍り出たという感じでした。

民家が数軒だけ。
痩せた尾根道に点在します。

強風に必死で耐えてきたようです。
ふきっさらしの地にへばりつくように建っていました。



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果無村は車道が通っていますから車でも行けます。
その車道に沿って家が一軒、
窓越しに老婆の姿が見えました。

道路補修をしているオジサンと世間話をしていると、
ゆるりと老婆が加わり、
楽しく話していたら中年一人旅の女性が加わり、

そのうちに元気な一人旅の若き女性も加わり、
やがて外人の中年カップルまでもが加わって、

お喋りが果無(はてなし)へと、続くのでした。





........ 果無村のポスターです。
老婆が歩いている道の先に現れるのが左上の画像。

老婆はたしか92歳。
ワタクシがお喋りをした相手だったのです。

口数の少ない老婆がつぶやきました。
一年前に亡くなったご主人への感謝と、
息子さんのお嫁さんがとてもやさしいこと。

不自由な足なのにアルバムを取りにいきました。
そして何冊も広げてくれたのです。

観光客を魅了して止まない桃源郷は、過酷な自然と
背中合わせなんだ、ということが覗きます。

アルバムに綴られた喜びと悲しみの山、
話の途中で滲みでた涙を見逃しませんでした。










......
三日目の帰りに寄った千枚田。
限界に挑んだ耕作は芸術にさえ見えてきます。

どんなに山奥であってもそこに住み、田畑を耕し、
細々と命をつないできたものとは・・・
山人のすざましさに言葉を失います。

作業の手を休め道案内してくれたのは、
ゴツイ体の農夫でした。

過疎の度合いが深いほど、人は真っすぐで、
そしてやさしく感じられるから不思議です。

苦労をいとわぬ、
こうした親切さはどこからくるのでしょう。




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