海跡湖豪華3点セット(平成30年冬)

                       
           厳しい冬の時期に、お薦めの山。

           老人に限りなくやさしい山。

           期待を裏切らない山が近くに沢山あります。



今日はひとりです。

登りだしてすぐのこと。

根の露出が縦横に走り、
面白い道だなあと感心して眺めていると

涙が出てきました。

突然、
山に生きた青春を思い出したのです。









登りの途中は頂上が見えません。

いかに高度を稼いだか、
それを確かめるべき手段は、後ろをふり向くこと。

樹林帯の切れ目、
古和浦湾が見えました。

「おやおや、結構登ったんだ」

海抜0mからの登山ですから、
海こそ高さの基点となるのです。









さらに登っていくと座佐の浜が見えました。

昼食はこの浜でと、決めていましたから
早く行ってみたい。

ワタクシのような爺になると、
頂上は単なる儀礼通過でしかありません。

ピークハンテングというよりも、
ヨタヨタのさすらい旅が似あうのです。









いっぽう180℃ふり向くと、
紀伊の山々が連なっていました。

はるか遠くには、雪に輝く山頂。

大寒波が居座っているこの時期に、
山登りができるなんて、

うんやっぱり、この地は最高。










座佐の高(429m)山頂から南方を眺めると、

そこは果てしなく広がる雲海だ!

まさに雲海のような海です。


すざましい強風が海面を走ると、
雲海絵図がとっさに塗り替わりました。








山頂から座佐の浜までは、
アップダウンの尾根が伸びています。

よし、
ガイドマップに記載されていないこのルートを
辿(たど)ってみよう。


尾根の途中、
東側を覗くとご覧のような景色。

これだけで賭けに勝ったような気持ちになりました。










尾根の西側です。

木立の隙間から見えるのが、芦浜の海跡湖。



ああ、あれが芦浜か!

ぜひとも見てみたかった所です。

尾根づたいに点々と打ち込まれた道標。

電力会社の杭。


芦浜と聞けば、しぜんと原子力発電所が
リンクします。








素朴に生きる人心を二分した原発計画。

国と一体となって推進したその計画は、
膨大な資金を投入したにもかかわらず
中止となりました。

もし中止とならなければ、
この美しい景色に出会うこともなかったでしょう。









ようやく座佐の浜にたどり着きました。

ここで昼食する予定でしたが
風が強くて落ち着きません。

時間は午後2時。












おやおや、登山者です。

よく見るとご婦人のグループ。

登山口は1カ所のみ、
そこにはワタクシの車だけだったのに・・

今回の山行は誰にも会わないと
信じていたから、余計にビックリ。

彼女たち、
元気よく足早に去っていきました。









浜から少し登った沢沿いで
遅めの昼めしです。

ガス調理器の使用は今回で2回目、
インスタントラーメンを用意しました。

ラーメン・・

一昨年急逝した親友が微笑んでいます。

5年前、立山の雷鳥沢キャンプ場で、
その友と笑いながら食ったのがラーメン。

高校生のころ親友3人で、焚火を起こし
雪を溶かして作ったのもラーメン。

みんなみんな、あの世へ行っちゃった。

ひとりぽっちで食べるラーメンです。









単純に帰らせてくれません。

登ったり下ったりと、
そして最後の登りで、またうれしい出会いです。

対岸にある薄月浜と薄月池(海跡湖)。



標高の高いアルプスでは、間違いのない約束事と
いったら頂上からの大パノラマでしょう。

ここでは、平凡な山道の随所、随所で
目の覚めるような景色に遇えます。


たかが400mそこそこ、なんという
ぜいたくさなんだろう。





登りはじめが9時前、下山したのが4時過ぎ、
チンタラ、チンタラ歩き続けた山行でした。

さあ、さいごの仕上げです。

ちょっと足を延ばし、紀伊長島のふる里温泉へ。


の〜んびりと温泉に浸かれば

ヒヤ〜 もう死んでもいいやって・・アハハハ






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