HPの為急きょ
撮った海辺。

渚はミルク色

芝刈りの手を休め何の気なしにと足元の海をみて、思わぬ出来事におどろいた。
波打ち際が、いつのまにか白く濁っている。
しかも、海岸に沿って延々と続いているようで、訳がわからない。

干潮からの上げ潮が、まだ間がないだろうことは、干え上がっている磯の広さで
察しがつく。
波による濁りではなさそうだ。
漁船の通り過ぎた後に遅れたようにやってくる波も、時として大きく成長し、岸辺に
攻め込んで「バシャ−ン バシャ−ン」と泥を巻き上げる。
が、それは土色の濁りである。けっして白くはならない。

それじゃあ、赤潮の変形種か……と、考えると一瞬気持ちが暗くなる。
五ヶ所湾の赤潮は全国的に知れ渡っていて有名らしい。
予期していたとはいえ、発生時期が早すぎはしないか。
でもオデマシなされたからには、もはや観念するしかないか…と、ガックリ。
…それにしても色が白いし、悪臭も無い。
不思議なこともあるもんだ。

なんか動くものが…そうか。
魚か。ボラみたいだ。濁った水中で、さかんに泳いでいる。
狂ったように水面から跳ね上がるヤツもいて、おだやかではない。
なーんだ、ボラの産卵か。
…と、新たな発見に得意になって一安心。赤潮でなくてよかったよかった。
何度か、魚の産卵と白い濁りはテレビで見たことがある。
上げ潮のときに、よくボラの群れが岸近くで遊泳しているので、きっとそれに違いな
い。濁っていてハッキリしないが、おびただしい数のボラがいるみたいだ。
それにしても、壮大な産卵光景に出くわしたものだ。
と、しばらく感心していたが。
…でも、そこかしこから一斉に白色煙が噴出されているのは、なぜ?

あっと、驚いた。 そして激しく感動した。
カキの産卵であったのか。
波打ち際にびっしりとついたカキが、一斉に放出するものだから、みごとなミルク色
に染まったのだ。
ボラはきっとそれを捕食するのに、群がっていたのだろう。
ベラやグレなど小魚も寄ってきて、すざましい数となる。
それはまるで、彼等の産卵のような印象を与えた。